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恋のマッチアップ番外編 膠着状態4

Penulis: 相沢蒼依
last update Tanggal publikasi: 2025-12-28 05:35:18

***

加賀屋が練習に来なくなって、1週間が経った。大学の講義にも顔を出していない。煩いヤツ兼ライバルが目の前からいなくなった事実は、いつもの日常を取り戻したことになる。

以前の俺なら加賀谷を気にせず、変につきまとわれないことに安堵して、毎日を送っていただろう。しかし残念ながら、心をかける相手がいるという状況が、考えを一変させた。

(俺が友達やめるなんて言ったのがショックで、落ちるところまで落ちて動けなくなってるわけじゃないよな)

練習の途中で帰ったのも、熱が出たからというのを同期から聞いていたので、病気が治れば呑気な顔して、また現れるだろうと思った。だけどもしかして、普通の病気じゃなかったのだろうか。そのせいで、今まで調子があがらなかったのかもしれない。

「笹良、動きが止まってるけど、そろそろパス練再開してくれないか?」

「ごめん。あのさ!」

ボールをパスした同期に、思いきって話しかけた。

「なに?」

「加賀屋、ここのところ姿が見えないなって」

「ああ。ちょっと前に熱出したときの風邪が、相当悪いのかもな。LINEしても返事が遅いし。生きてるのは確かだけどさ」

「風邪……」

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    ☆☆☆ コースを下見するように、慎重に走った一周目よりも、少しだけスピードをあげて二週目を走行したお陰様で、ほどよくレースの雰囲気を味わえた4人は、ゴーカートを降りてから笑顔でヘルメットを外した。「意外と楽しかったな」 橋本が榊に話しかけると、興奮を抑えられないように弾んだ声をあげる。「ほんの少しだけアクセルを多く踏んだだけなのに、すごく早く走った気分になりました。二周目がめちゃくちゃ早く終わった感じです!」「恭ちゃん、上手に運転していたね。運動神経がいいせいかな、僕よりもカーブの曲がり方が良かったと思うよ」 3人で感想を言い合っているところに、佐々木が宮本と並んで傍にやって来た。完走後に、いろんなことで一番反応しそうな宮本が話に加わらなかったことを不審に思った橋本は、すぐさま話しかける。「雅輝、なにやってたんだ。おまえらしくなく、ずっとトロトロ走って……」「えへへ。実はテントで説明を聞いてるときに、佐々木さんからサーキットでレースができる話を聞いていたので、今こっそり申し込んできたんです!」「いつ間に……」「陽さんたちが盛り上がっていたときですけど。蚊帳の外で寂しかったっす!」 宮本はちょっとだけむくれながら、橋本に体当たりを食らわせた。寂しさを表すような体当たりは、橋本の躰を大きく揺らすものだった。「橋本さん、榊さん、コースにいるゴーカートがはけてからレースを開催しますので、もう少しだけお待ちくださいね」「げっ! 俺たちのために、サーキット場を貸し切りにするのかよ!」「宮本さんがポケットマネーを使ってくれたお蔭です」「佐々木さんっ!」 しれっと内情を暴露した佐々木に、宮本が止めに入ったがすでに遅し。和臣が宮本の傍に慌てて駆け寄り、ぐいぐい袖を引っ張った。「宮本さんひとりで決めるなんて、あんまりですよ! みんなで出かけているんだから、ちゃんと僕らに相談しなきゃいけないことです」 和臣の持つ大きな瞳でキツく睨まれた宮本はピキンと固まり、視線だけで橋本に助けを求める。(おーおー、可愛らしい和臣くんに怒鳴られて、雅輝のヤツすっげぇ困ってる。たまには俺の苦労を思い知りやがれ!) 宮本からのヘルプをやり過ごすべく、橋本が明後日のほうを向くと、榊が和臣を宥めるように頭を撫でた。

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    「ありがとうございます。恭ちゃんでも、最後まで走ることができそうな距離でよかったね!」「和臣に俺の心配をされるとは、思いもしなかった……」「だって恭ちゃんはペーパードライバーなんだから、心配して当然でしょ」「榊さん、大丈夫ですよ。普段乗らないからこそスピードを出しちゃいけないと体が自然とセーブするので、危ない運転にはならないと思います」「そうなんですか。だったら普段運転する僕らは、気をつけなければいけないですね」 人当たりのいい佐々木の対応に、和臣は緊張せずに相づちを打ちながら嬉しげに笑った。「雅輝の場合はどうなるんだろうな。普段の乗り方を考えると、コーナーを突き破ってしまうような気がする」「陽さん酷い! そんな危ない運転、俺は絶対にしませんからね」「宮本さんのご職業はなんですか? 普段の乗り方って……」 疑問に思ったのか、橋本と宮本の会話に割って入った佐々木。きょとんとした表情で、目の前にいる面々を見やる。真相を知っている榊と和臣は、互いに顔を見合いながら苦笑いを浮かべていた。「えっと俺は、トラック運転手なんです……。大きい車を運転してるからって、荒っぽいことは危ないからしていないというのに」「ちなみに俺はハイヤー運転手で、隣のコイツはペーパードライバーだから、俺が代わりに運転手してる。和臣くんは会社の営業で、時々乗るんだったよな?」 しどろもどろに答える宮本を他所に、橋本は榊たちの分まで丁寧に説明をして、佐々木の返答を待った。「あ~ドライバー同士だから運転のことについて、お互いいいネタになりそうですね」「そうなんです! 陽さんは本当に容赦なく、いろいろ突っ込んでくるから」「容赦なくコーナーに突っ込んでいるのは、どこのどいつだよ?」 普段見ることのできるふたりの様子に、榊は笑いを堪えながら話しかけた。「はいはい、そこまで! おふたりが仲良くしているせいで、佐々木さんが困っているでしょう。そろそろ本題に入らせてあげたらどうです?」「恭介悪い。雅輝は無視したままでいいから、佐々木さんどうぞ本題に移ってください」 食ってかかりそうになっている、宮本の視線を完全無視した橋本はきちんと前を向き、営業スマイル全開で佐々木と対峙する。そのことでしょぼくれた宮本と、崩れることのない微笑みを頬に湛える橋本、気を遣いまくる榊と和臣という微妙なカ

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    *** 町はずれに作られたゴーカートのサーキット場は、周りを森林が取り囲んでいるお蔭で、どんなにエンジン音が響いても気にならないところにあった。プレオープンということもあり、そこそこのお客様が来場していて、それなりに賑わっている様子に、橋本を含めた4人も自然と笑顔になる。「陽さん見てください。大人と子ども別々に、サーキット場があるみたいですよ」「助手席で事前にパンフを見ていたくせに、どうして気づかなかったのかわからないな」「えへへ、サーキットのコーナーの難解さに見惚れてしまって、それ以外の情報を全然読んでなかったっす☆」「クレイジーな走り屋の雅輝らしいと言えばいいのか……」「橋本さんと宮本さん、和臣が呼んでます。ちょうど受付が終わったみたいですよ」 大きなテントで受付を終えた和臣の傍で、榊が手を振りながら大きな声をあげてふたりを呼び寄せる。弾んだ足取りで合流すると、受付の奥から係員が出てきて説明をはじめた。「いらっしゃいませ! 今日はよろしくお願いします。どうぞこちらに」 誘導する係員に連れられ、小さなテントにぞろぞろ入った。中にはパイプ椅子と机がそれぞれ4つずつ置かれていて、先客でふたつ埋まっていた。「どうぞおかけください。えっと榊さんおふたりに、橋本さんと宮本さんですね。係員の佐々木と申します」 1番左の椅子に宮本が颯爽と座り、その隣を橋本が陣取ると、榊、和臣の順で席が自然と決まった。「ここで使用するカートは、大人用と子供用で分かれておりまして、大人用には200ccエンジンを搭載しています」「へぇ。結構馬力が出るんじゃないですか?」 身を乗り出すように嬉々として宮本が訊ねると、佐々木は瞳を輝かせながら声を弾ませて答える。「そうなんですよ! ゴーカートは路面と近いので、自動車とはまた違った迫力がありますし、体感速度は120キロくらいあるんです」「120キロか、ワクワクします! それだけスピードが出るなら、コーナリングも難しくなっちゃいますね」(雅輝のヤツめ、120キロくらいじゃワクワクしないクセに、よくもまぁそんなに楽しげに話せるもんだな)「恭ちゃん、120キロも体感速度があるんだって。大丈夫?」「う〜ん。あまり感じないように、アクセルを思いっきり踏まなきゃいいだけの話だろ……」 上がりまくる宮本のテンションを他所に、榊と

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